一番そばに。



「ちょっ、ちょっと大河!」



名前を呼ぶけど大河は振り向いてくれない。

私は首だけくるりと振り返り、



「氷室くん!…ありがとう!」



彼にお礼の言葉を伝えて、連れられるがままに大河について行った。


大河は倒れていた自転車を起こすと少し気まずそうに私の顔を見た。


目が合うとなんだか無意識にドキドキする。



「…アイツになんかされた?」


「…え?」



大河らしくない、少し心配そうな顔。

いつもはキリッとしている目元が今日はやけに垂れ下がっている。



「大丈夫だよっ」



笑顔で答えたけど、大河はなんだか腑に落ちないみたいで。



チュッ…



「…え」



急に顔が近くなったと思ったら、そのままほっぺたにキスをしてきた。


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