一番そばに。
お母さんが笑顔で迎えてくれた。
「…あれ?お父さんは?」
いつもならテレビの前のソファに腰掛けているはずのお父さんの姿が見つからない。
私が聞くと、お母さんは小さな溜息をつきながら、
「なんか仕事が入ったみたいなの。せっかくの家族が揃った休みなのに…」
目を伏せた。
なるほど、学生にとっては長期休みでも、大人にとっては仕事が突然入ることもあるようだ。
大河は暫く黙ってたけど、そのままストンと椅子に腰をかけた。
「…あ、そっちは梓羽の!大河くんのは隣のお盆のやつよっ」
「…え、あー、すみません」
……そんなにお腹空いてたんかい!
テーブルの上に置かれた朝食を目を輝かせながら見つめている大河を見ると、なんだか可愛らしくて笑えてきた。