一番の君。


「…凛に触るな。」


凛を掴んでいた男の腕を振り払いながら、
唸るように凄む。


実戦経験なんてないけど、
修羅場はいくつか見てきた。

どうするのが一番か、なんとなく分かる。



自分でも思ってた以上に、
低い声で驚いた。


周りが一瞬、フリーズする。


「………。」
「…………。」
「……黙ってついてこい。」
「………。」


嫌だ、そう言いたい気持ちを抑えて、
素直に従う。


今はそれが最善に思えたから。


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