一番の君。


ーーーガチャ。


古い立て付けの悪そうなドアを開けると、
少しは離れた正面に一対のソファがあり、
そこに一人の男が座っていた。


ショートのダークブラウン、
整った顔つきに、
獲物を射るような目付き。


思わず息を呑む。


品定めをされているような視線が痛い。


でも男から視線が離せない。


ーーードン。


半ば突き飛ばすように背中を押され、
入室を強制される。


凛が慌てて、私に擦り寄る。


不本意だけど、今ので
幾ばくか冷静になれた気がする。


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