一番の君。
「…お前、本当にここに連れてこられた理由、理解してるか?」
「………え?」
黙っていたリーダーがつまらなそうに聞く。
え、どういうこと?
恥じかかされたとか、
そんな事じゃないの?
たかだか、ヤンキーの集まりで
こんな大層な反応されても困るんだけどさ。
「分かってなさそうだな。」
「…どういうことですか。」
「チカ。」
「はいはい、説明は俺なのね。」
チカと呼ばれたフェロモンお兄さんは、ダルそうに、でもしっかりと私たちを制しながら説明を始めた。
「俺たちはただのヤンキーの集まりじゃないの。まぁ確かにこの学校の番は張ってるけど、本業はそっちじゃなくて、こっち。」
そう言って見せられたのは、
…何かの鍵?
家の鍵じゃないだろうし…
かと言って車は乗れないでしょ?
じゃあ、バイク?
「正解。俺たちは県一の暴走族なの。」
「暴走…族…?」
「そう。それで、その番長がここ三年、雨霧 焔(アマギリ ホムラ)って訳。」
「……。」
イマイチ実感が湧かない。