いっしょのきもち

光希side


入学式の日の自己紹介。
さすがに俺も驚いた。

「高橋美月です。先ほど自己紹介した高橋光希くんとは同姓同名のようなので。区別して呼んでいただけるとうれしいです。」

びっくりして思わず振り返ってしまった。彼女ははにかんだように笑ってた。
その笑顔にほんとは一目惚れだったんだ。

最初は美月との共通点がうれしかった。
すきな本、好きなグループ、食べ物の好み、家が意外と近かったこと、使ってるシャーペンが一緒なこと。共通点があれば、美月と話ができるから。
和馬とはるちゃんがおんなじ塾だったらしく、4人でつるむようになった。美月とは路線が一緒でたまに一緒に帰ったりもして、付き合ってるのかなって勘違いしそうになることもあった。

夏祭り。
近くの神社に4人で出掛けた。浴衣の美月がかわいくて、迷子になるとか転びそうとかいろいろ理由をつけて手を繋いだ。冷静を装ってたけど、心臓はばくばくしてた。

でも、美月は俺のことはどう思ってるんだろう。
「いっしょだね。」
うれしそうに話す美月の気持ちが見えなくて。
''いっしょ''でなければ、俺には興味がないのだろうか。。。

「美月と俺はいっしょじゃない!!!!」
'いっしょ'をうれしそうに話す美月にだんだんイライラするようになり、ついつい吐き捨てるように言ってしまった。
いっしょでも、いっしょでなくても。俺は美月といっしょにいたい。美月が好きだ。

自覚はないようだけれど、美月はもてる。
ちょっと目を離すと、他の男に言い寄られてる。本人は、全然気づいてなくてスルーしてるけど。
美月の中で、一番近くにいるつもりだった。
でも。
『いっしょじゃない』
そう言って以来、美月とは少し気まずくなっている。

俺はどうすればよかったのか。
これから、どうすればいいのか。

バレンタイン間近。
美月に好きな人がいるという噂が流れた。美月にフラれたやつが流したらしい。
美月のことだから、好きなやつにはチョコ渡すんだろうなぁ。
俺にくれる可能性はどれくらいだろう。

バレンタイン、
俺は他の子からチョコをもらった。
「ありがとう。でも、ごめん。」
「美月ちゃん?」
「うん。」
「やっぱり。美月ちゃん好きな人いるって噂だよ?」
「知ってる。でも、俺は、好きだから。」
「そか。ありがとう。」

ほんとは、結構期待してた。美月がくれるんじゃないかって。
でも、くれなかった。間接的に俺は、ふられたんだ……


2年になればクラスが離れる。それどころか校舎が違う。

1年生最後の日。
俺はきもちを伝える決心をした。

『午後3時。夏祭りに行った神社の鳥居のした集合』
< 13 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop