君の鼓動がなる度に
部屋に着いてみると、私の下宿先の部屋よりも大きな個室で、病院とは思えないようないい香りがした。
さっきのムカつく医者が部屋をあとにして、私はカーテン越しに呼び掛けた。
「同じクラスの藪仲つむぎですけど、雪見さんが休んでたんでプリント届けに来ましたぁ。」
「…」「失礼。」届けに来てやったのに挨拶もナシかよ…なんて思いながらカーテンを開けた。
そこにはおでこの辺りに包帯を巻いたイケメンが寝て居た。
(なにこのアニメみたいなシチュエーションw)
起こそうかと思ったが暴力団と喧嘩した奴なんだから殴られるかと思ってやめた。
小声で、
「ここ、置いとくから。」と言って、帰ろうとすると、
「テメー誰だ?見掛けねぇ顔だな。」
と後ろから声が聞こえた。
「あ、起きたんだ。同じクラスの藪仲つむぎ。もう帰るから。」
「おいおい、待てよ。レディが持ってきてくれたのに礼もナシに帰すわけにはいけねぇだろ?」
チャラっ!とは思ったもののリクが来るまでまだ時間が有ったため、桐山の言う「礼」を貰う事にした。
「なんかねーかな。」「無理して探さなくても良いのに。」「いや探す。あっ!こんなとこに10個位リンゴあった。」そんなに持って帰れねーよと思ったがせっかくだから、遠慮なく持って帰ろう。と思い
「ありがと。」と言って持つと「え、お前こんな重いの持てんの!?」「重いって分かってて何で持たせんの?ww」「ハハハw悪かったな。」と話が盛り上がり、(案外良いヤツじゃん。)なんて思っていると、
ガラララッ!
「ちょっと!藪仲さん!?何で木戸さんと代わってもらわなかったの!?貴女みたいな薄汚れた暴力女、桐山君が汚れるでしょ!」そこには今日休んでいた、伊井田雪見が居た。
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