さよならくじら

勇気

「希咲ーー!ねーもー、2月だよ!!」
詩乃が言った。

「そーだねー!」
そう答えた。

「なによー。その反応!」

「えっ?何がー?」

「ちょっとー、希咲大丈夫?」
「2月といったら、『バレンタイン』でしょー!」

あっ。そんなのもあった。
恋をした時がなかった私には友チョコも言うものしか興味がなかった。

「詩乃は利太にあげるのー?」
聞いてみた。

「あったりまーえ!あげるに決まってるでしょー!」
「希咲は倖羽にあげないのー?」

そう詩乃に聞かれてビクっとした。

「あげなよー!実は私、バレンタイン、利太に告白しようと思ってー。」

さすが詩乃。詩乃はいつもすごい。

私にはチョコをあげる勇気も。
告白する勇気もない。

「希咲も、あげること決定ねー!」
えっ。あげる勇気ないよ。

「ダメダメ。あげなきゃ!一緒に作るよ!!」
詩乃の勢いに負け、

「うん.......。」
あげることになってしまった。
< 32 / 96 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop