さよならくじら
「俺。お前のこと好きだ。」

倖羽はそう呟いた。

「.......」


「俺と付き合ってください。」


その言葉をずっと待ち望んでいたはずなのに、
今は心に響かない。

それは、倖羽の言葉の壁があるから。


大好きな人からの

『関わらないで』は世界で一番傷つく。



冷たく冷たくされたという分厚ーーい壁があるから.......

心には響かない。


「ずっと冷たくしたり、関わらないでとか言ってホントごめん。。」


「.......」


「俺、ほんとに最低なことした。ほんとに申し訳ない。でも聞いてくれ!」


「.......」


「俺の意思ではやってない。」


「どうゆうこと?」


「穂乃果が.......穂乃果に、希咲と関わったら、希咲をひどく傷つけるから。って脅された。」


「.......」


「俺、ずっとお前のこと好きだったから.......傷つけるとか言われたら....その...なんていうか.......お前を守るためにって言ったら嘘くさくなるかもしれないけど.......でも一言で言うと、お前を守るためにしたがった。」


「.......」


「だから、ほんとにごめん!」




こんなに必死な倖羽、初めて見た。
ショックで立ち直れなかった.......でも、誤解だってわかったら、
なんか心の奥にあったつっかえ棒みたいなのが、消えていったように感じられた
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