1人の女子とゆかいな不良たち
大翔side

大丈夫と連呼しながら机に突っ伏してしまった結愛。

「あぁ、完全に酔っちゃってるねー」

「うわぁまじごめん、結愛ちゃん」

「普通、間違える?!ちゃんとしなさいよ!」

3人の声を背中で聞きながら、俺は立ち上がった

「こいつのこと送ってくる」

「え?結愛ちゃん家わかるの?」

「いや、そこはこいつに無理やり聞く」

そう言って結愛を背中におぶった

「結愛ちゃんのよろしくね!!」

「またあとで」

「結愛ちゃんのこと気に入ってるんだな」

3人の言葉を背中に受けながら店を出た。










"気に入ってるんだな"

雅楽が言っていた言葉が頭にひっかかった。

気に入ってる?興味があるだけだ

それ以上でもそれ以下でもない

だいたい、俺はまだ…

そんなことを考えていたら学校近くの公園来ていたことに気づいた、

そろそろ起こして家聞かないとな

そう思い1度ベンチに結愛をおろした

「結愛、起きろ、結愛」

何度目かの呼び掛けに眠そうに目を開けた結愛

「家どっちだ?」

「んー?東町の方…」

そう言ってまた寝そうな結愛を起こしつつもう一度おぶって歩き出した。

「おまえ、親御さん心配してないのか?」

何気なく聞いたことだったが、

「親はいない、一人暮らしだから」

その答えに息を呑んだ

「お父さんは生まれた時からいなくて生きてるんだか死んでるんだかわかんない、お母さんは3年前に死んじゃったの…」

お酒が入ってるせいか饒舌な結愛が寂しそうに言った。

「おばさんちに引き取られる予定だったんだけど、そのうちでわんちゃん飼ってて、」

わたし、犬アレルギーだから…

結愛はそう言葉を続けた

「それで一人暮らし。でも自分の好きなようにできるから楽しいよー」

そう言う結愛の声は笑っているのにひどく寂しそうで胸が締めつけられた…
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