1人の女子とゆかいな不良たち






楓さんからそんな話を聞いた3日後、

ピロン

家で過ごしていた私にメールが届いた。

開いてみると、楓さんからだった。

【結愛ちゃん、どうしよう】

その文面だけ見た私は慌てて楓さんに電話をかけた。

『もしもし、結愛ちゃん?』

『楓さん?!いったい何があったんですか?』

『実は…陵が婚約するかもしれなくて…』

『え?!婚約?!』

重大な話に、直接話したいと思った私は家に楓さんを誘った。

そして20分後、楓さんがやってきた

「楓さん!」

部屋に来た楓さんはいつもより元気がなかった。

「ごめんね、休日なのに…」

「いえいえ!」

ふたり分の紅茶とお菓子を用意して楓さんの向かい側に座った。

「あの、それで婚約っていうのは…」

「陵のうちの事だから縁談とかはあるだろうなーっては思ってたんだけど、どうも今回は厄介らしくて…」

楓さんの話によると、

楓さんと付き合うことに反対している陵のお母さんが頻繁に縁談を持ってきているらしい。

いつも、陵はきっぱりと断っているが今回の相手は日向スポーツと大きな関わりがある会社で無下にはできないそうだ。

「陵は大丈夫だって言ってくれるけど、断ったらどんな影響を受けるか…
もちろん陵と一緒にいたいけど、私のせいで陵の会社に悪影響を及ぼしたらって考えると…」

楓さんの葛藤が痛いほど伝わってきて泣いてしまいそうだった。

「こんなこと言ってもしょうがないんだけど、どうしても誰かに話したくて…聞いてくれてありがとう」

「そんな…こちらこそ話してくれてありがとうございます」

悲しそうに微笑む楓さんを見て、これ以上悲しいことが起きないよう願うばかりだった。
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