1人の女子とゆかいな不良たち



俺は急いで駆け出した

歩道に乗り上げたバイクの数メートル先に愛しい人の姿があった


「優菜!おい!優菜!!」

優菜を抱きかかえ必死に声をかける

「おい!救急車!」

後ろでそう呼びかける声が遠くに聞こえた

「優菜!しっかりしろ!!おい!」

「.....ん、ひ、ろと...?」

「優菜!いま救急車来るから!待ってろ!すぐ助けるから!!」

「やだ.....ひろとないてるの...?」

震える手で俺の頬に手を伸ばす

俺はその手をしっかりつかんだ

「ないて、ねぇよ...だってお前は助かるんだから...」

「...やっぱり大翔は、やさ、しいね?」

必死に言葉を紡ぐ優菜はとても辛そうだった

「もうしゃべるな...」

俺はさらに強く優菜の手を握りしめた

そうでもしないと優菜がどこかに言ってしまいそうでとてつもなく怖かった

「ひ、どい、なぁ、しゃべるな、なんて」

「優菜...お願いだから」

「たんじょうび、だから、わた、しが、おねがい、できるんじゃ?」

「優菜っ」

「おねがい、きいて?」

「良くなったらいくらでも聞いてやるから!」

「おねがい、ひろと、なか、ないで」

「優菜っ!」

「さい、ごは、わらったかお、みたいな」

「最期ってなんだよ、まだ優菜は死なねぇよ!」
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