1人の女子とゆかいな不良たち
「わらわ、ないなら、わたし、が、わらわせて、あげる」

優菜は再び俺に手を伸ばすとグイッと俺の口角を持ち上げた

「ひ、ろと、しあわせに、なって、ね」

そう言って優菜は目を閉じた。同時に俺の顔に触れていた手はだらんとたれた

「お、おい優菜?優菜?おい!目を開けろよ!おい!優菜!!!」











その後のことはよく覚えていない

病院に運ばれた優菜は既に亡くなっており、俺は警察から事情聴取をされ、迎えに来れない俺の親に代わり陵の親が俺を迎えに来て家まで連れてきてくれた、らしい


それから1ヶ月ほどの俺はなにごともうわの空で魂がすっぽりと抜けた幽霊のようだったと雅楽は言っていた




そんな俺を見放さずに寄り添ってくれたのが雅楽たちだった

優菜を失った悲しみはみんな同じはずなのに俺には辛い表情を見せず明るく振舞ってくれた

最初はそんなみんなを疎ましく思ったがその明るさのおかげでどうにか立ち直ることができた

そして、俺はようやく受験勉強を始め、今の高校に合格した
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