1人の女子とゆかいな不良たち
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そして、現在

部屋には沈黙が流れている

あの後部屋に入った私達はあっという間に雅楽と2人きりで部屋に入れられた

2人でゆっくり話せ、ということらしい

でも...

「...」

さっきすごい勢いで喋っていたのが嘘のように沈黙を貫いている、雅楽

どうしよう...

「あ、あのさ」

「ごめん」

沈黙に我慢できずに声を上げるとそれに被さるように雅楽がそういった

「ごめん、ほんとにごめん」

「そ、んな、謝らないでよ、雅楽が悪いわけじゃ」

「でも、俺の父さんのせいだ、結さんが仕事辞めなきゃいけなくなったのも、結愛ちゃんが苦労してるのも」

それなのに、と雅楽は続ける

「それなのに、俺がいま1番感じてることは喜び、なんだ」

「喜び?」

「こんなこと、思っちゃいけないって分かってるんだ、けど、結愛ちゃんと兄妹ってことが嬉しい」

「兄妹...?」

そんなこと、思ってくれたの...?

「結愛ちゃんとしては嫌かもしれない、でも俺は結愛ちゃんが妹で慕ってた結さんの娘で嬉しいよ」

「そんな、嫌だなんてこと、あるわけないよ、いないと思っていた家族がいて私も嬉しいよ」

すっと心が軽くなった気がした

雅楽がお兄ちゃん...

「まだ俺自身戸惑ってる部分が多いけど、」

そこで一旦言葉を区切ると雅楽は私の目を見て

「これからは、家族として俺の事頼った欲しい」

そういった

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