輪留世沙羅の日常

今日はそんな彼女の1日に密着してみようと思う。
と言ってもファミレスで働いている間だけだが。
輪留世の勤務時間は夜の7時から深夜2時までの7時間。
週3回店に来てくれる。
そして勤務開始のはずの午後7時、彼女の姿はない。
安定の遅刻だ。
もう慣れてしまったもので、特に人手が足りないわけでもないから、もう怒るのも諦めた。
そして午後7時30半彼女は店にやってくる。
遅刻のタイムロスを少しでもなくすためだろうか。彼女はいつも制服でやってくる。
そして彼女は早速空いてるテーブルの食器を下げようとする。
彼女は素早く、慣れた手付きで食器を片付け、こちらに運んでくる。
そして。
パリーンッ
本日一枚目の犠牲者が生まれた。
そしてその後を追うかの様に。
パリーンッ パリーンッ パリーンッ
3枚の皿が割れた。
従業員一同で声を出す。
「すみませんでした!」
そして彼女は残った食器を持ってくる。
俺は彼女に言う。
「次、4番テーブル下げて!」
「はい!!」
威勢はいい。ただその勢いがあまりにも強すぎるのだ。
彼女は4番テーブルの食器を片付け、
こちらに持ってくる時、新たに2枚の皿を割った。
ここで不思議なのは、皿以外は絶対に割らないのだ。
ハンバーグの鉄板や飲み物のコップなど、
落とした事もない。何故か、皿だけなのだ。

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