願わくば、君の幸せ
敗北感…… 初めてそう感じた。
私は幼馴染を越えられなかった……
絵美は幼馴染を思う羽斗吏ごと受け止めた。
私と自分を比べず、羽斗吏の気持ちを優先させてくれる人……
「 幸せなんだね、羽斗吏 」
「 幸せだよ 」
ギュッと抱きしめてくれる羽斗吏。
私がその腕を離す時が……
羽斗吏……
「 大好きっ、羽斗吏 」
「 沙和… 俺も大好きだよ 」
ありがと、羽斗吏。
私の一生は羽斗吏がいてこそだよ。
「 おめでとう 」
初めて、嬉しい涙を流した。
笑顔で…… 羽斗吏に向けた、私の笑顔。
「 沙和っ… 」
もう一度、羽斗吏は抱きしめてくれた。
私は幼馴染の羽斗吏を手離す。
もう、大丈夫だよ、羽斗吏……
二人でみんなの所に戻ると、絵美が待っていた。
そして、私に手渡されたブーケ。
「 沙和さん、これからお世話になります 」
「 はい、こちらこそ 」
互いに笑い抱き合った。
それを羽斗吏は優しい笑みで見つめていた。
教会を一人見つめていると、隣に悠平が。
「 沙和 」
「 悠平… 」
「 ま、俺がいるから 」
「 え… 何、何が言いたいかわかんない 」
「 俺と沙和、二人は今教会にいる、それにブーケがある… わかる?」
……わかりますよっ
私にある未来なんてわからないけど、羽斗吏が幸せなら、私の幸せでもあるわけで……
なぜか隣には悠平がいて。
「 沙和 」
私を呼ぶ声は、いつもそばにある……
_完_