願わくば、君の幸せ
それから1年……
羽斗吏に呼ばれた。
指定されたカフェに行くと、羽斗吏と彼女らしき人が並んで座ってた。
初めて、見たくない光景を目の当たりにした。
嫌な心音……
胃液でも出てるのか、気持ち悪い。
二人が見合って笑ってる。
絵の具の黒で塗りつぶしたくなる光景だった。
「 沙和! 」
立ち尽くす私に気づいた羽斗吏が呼び、隣の彼女が席を立って会釈。
なんで会釈……
丁寧でしとやかなフリ?
羽斗吏の彼女だから幼馴染には認めてもらおうって?
「 沙和、座れよ、木かよ 」
「 木って!? 羽斗吏あんたねぇ… 」
「 も、いいから! 沙和、俺の彼女の… 」
「 あ、私が。 初めまして、笠木 絵美です 」
可愛い声……
「 羽斗吏の幼馴染で沙和です 」
絶対、笑わない。
羽斗吏の彼女になんて、笑わない。
「 あのさ、沙和… 大事な話があるんだ。その前にもう一人来るから、俺の親友 」
……話?
親友って… 誰だっけ?
待つように言われ、その間に私の注文したケーキセットが来た。
紅茶を注ぎ入れ、飲もうとした時だった。
背後から声が……
「 羽斗吏 」
その声に振り返った。