願わくば、君の幸せ
私達はもう、学生じゃない。
物事の分別が出来る大人。
ただ、羽斗吏と私は変わらないままの関係でいる。
羽斗吏の大事な話に合わせるように、呼ばれて来た羽斗吏の親友。
「 悠平 」
「 幽霊っ」
「 沙和… 悠平だっつの!」
あ~…… そう。
「 ごめんなさい 」
失礼しました。
「 絵美ちゃん久しぶり、沙和ちゃんも 」
え…… 沙和ちゃん、も?
誰だっけ?
私を “ 沙和ちゃん ”って呼ぶなら知りあいなの?
え~ わかんないっ
「 天野 悠平、沙和覚えてない? 小学校の時、お前コイツ好きだったじゃん 」
は? 私が?
「 バレンタインのチョコ渡したけど、悠平が他の奴にくれって言われてあげたの見て泣いてただろ、忘れた?」
…あ……
「 あー!! 最低の悠平っ 」
「 最低って… あれはガキの頃でさぁ 」
「 ちょっと忘れてたけど、私は傷ついたし、ごめんもなかったし、おかげで今も義理チョコすら買えないんだからっ 」
本命しか買わないしね。
そうだ……
私、羽斗吏以外でほんの一時好きになった人がいたんだ。
って言っても、周りに好きな人誰かしつこく聞かれて……
羽斗吏とは言えなくて…… つい、悠平って。
「 あの時は、ごめん 」
悠平に謝られて、申し訳なくて俯いた。