100日の歌姫。




「莉々。」


「実那。」


莉々は、そう言ってあたしを抱きしめた。



「こんなに痩せて……。心配したじゃん、もう。」


「ごめん。」


あたし達は教室の真ん中で抱き合った。



莉々も、みんなも何も聞いてこなかった。



「次、化学!実那置いてくよ!?」


「え、待ってよ!」


ただいつも通り、いつもと同じように接してくれた。



病気であることを忘れられた時間だった。




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