花と蝶
権賢は徳城府院君を彷彿させた。徳城府院君とは、貢女から皇后になった奇氏の父親である。
国王より尊くなった奇氏をかさにして徳城府院君は傲慢になり、横暴を極めた。それを処分した国王に対して奇氏は軍事で圧力をかけてきたのである。
だから、権賢を無下にはできなかった。権賢の姉である皇貴妃は奇氏ほどではかいが、大秦後宮で絶大な牽制を誇っている。だからこそ、権賢が西院公になれたのだ。
「養子で思い出しましたが、殿下、皇貴妃娘娘が養子を東瀛から迎えたいと言っておりました…哲仁君、延仁君のどちらかを…」
「皇帝陛下の了承は得ているのか?」
「はい。皇貴妃娘娘のご養子になるのですから、王子様方には栄華ではありませんか?」
欣宗は権賢の瞳を見つめる。真っ直ぐで力があるが、どこか濁った瞳であった。その濁りとは欲であろう。権賢は清廉潔白などとは程遠い人物だ。欲でしか自分自身を満たせないのである。
国王より尊くなった奇氏をかさにして徳城府院君は傲慢になり、横暴を極めた。それを処分した国王に対して奇氏は軍事で圧力をかけてきたのである。
だから、権賢を無下にはできなかった。権賢の姉である皇貴妃は奇氏ほどではかいが、大秦後宮で絶大な牽制を誇っている。だからこそ、権賢が西院公になれたのだ。
「養子で思い出しましたが、殿下、皇貴妃娘娘が養子を東瀛から迎えたいと言っておりました…哲仁君、延仁君のどちらかを…」
「皇帝陛下の了承は得ているのか?」
「はい。皇貴妃娘娘のご養子になるのですから、王子様方には栄華ではありませんか?」
欣宗は権賢の瞳を見つめる。真っ直ぐで力があるが、どこか濁った瞳であった。その濁りとは欲であろう。権賢は清廉潔白などとは程遠い人物だ。欲でしか自分自身を満たせないのである。