【短】泣き虫先生とわたしの卒業

「ななななな、なに、言ってるの!?」



 そんな速水の慌てっぷり、レアだ。
 速水が好きだと言っていた男子たち、羨ましがるぞ。


 いや、言えんな。言ったらおれが泣いていたことも言わなきゃならない。
 馬鹿にされてまで言うようなことじゃないな。


 よし、おれの記憶媒体に保存しておこう。



「ゆうちゃん?」

「頭を撫でてくれた。あれって慰め――――」

「違います!!」



 がっかりだ。ついに生徒に愛される素敵な先生になれたかと思っていた。


 思いっきり勘違いしたんだな、おれは。
 ついに生徒にまで見捨てられるんだな、おれは。

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