【短】泣き虫先生とわたしの卒業


「そんなんでやっていけるの?」



 わたしはそんな寂しさを隠すかのように話しかける。


 机に突っ伏していた日下部優先生、通称ゆうちゃんがやっと顔を上げた。


 ずっと伏せっていておでこが赤くなっている。目は泣いていたせいで、少し腫れていた。



「ゆうちゃん」



 わたしはそっとその頭を撫でてあげる。
 染めていないのに明るいブラウンの髪が、徐々に迫ってきた夕日に照らされてオレンジ色に見えた。



「羨ましいな、この髪」

「渚の髪だって、黒くて長くて綺麗。絶対に染めないでね」


< 2 / 41 >

この作品をシェア

pagetop