【短】泣き虫先生とわたしの卒業
図書室で二人
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少し肌寒くなってきた図書室。日が傾いてきて、もう沈んでしまいそうだった。
暖房設備などここにはないし、あったとしても勝手に使うことは許されない。
こんな寒い図書室とも、もうお別れ。
何もかもに思い出があって、この場所は今やわたしを泣かせるためにあるようなもの。
僅かに見えている桜が切なげに揺れていて、わたしの感情もつられて寂しくなる。
もう、帰らなければならない。
家ではきっと両親が待っているだろうし、スマホにも通知が溜まっているかもしれない。
友達と卒業旅行の計画もまだ中途半端で、明日には決めて動かなければ、すぐに大学の準備に追われてしまう。
やることがたくさん。