【短】泣き虫先生とわたしの卒業
「わたしはただ話を聞いていただけ。アドバイスなんてしてなかった。結局、頑張ったのはゆうちゃん。一人で答えを見つけたんだよ」
「話を真剣に聞いてくれるやつなんていなかったよ。だから、本当に嬉しかった。渚はおれにとって大切な存在だよ」
恥ずかしくなるようなことを簡単に言ってくれる。
そういうの、大人になったら慣れるのかな。
わたしには無理そう。
今だって、顔が熱くなる感じがするもの。
「で? 今日はどうしたの?」
わたしが誤魔化すように言えば、ゆうちゃんがきょとんとした顔をする。首まで傾げて、お前は犬かと突っ込みたくなる。
「だから、今日はなんで泣いてたの? 授業、なかったじゃない」