【短】泣き虫先生とわたしの卒業

「ちょっと強引な渚、好きだな」

「え、ゆうちゃん?」

「じゃあ、次の質問な」



 軽くスルーされた。
 ゆうちゃんのくせに、ちょっと生意気。



「学校が長い休みになる夏休みや冬休み。毎日、図書室に通ってくれたのはなぜ?」

「そ、それは。宿題をするためで……」

「じゃあ、次」



 ぎゅっと腰に回された腕に、初めて抱きしめられたって気づいた。


 ゆうちゃんの吐息が耳にかかってくすぐったい。


 わたしの大好きな髪は、暗くてよく見えない。
 でも、肩に頭を寄せるゆうちゃんのシャンプーの匂いは変わらない。

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