【短】泣き虫先生とわたしの卒業
ドアに手を掛けた所で、
「いくらなんでも悪すぎる!」
大声にわたしは驚いて立ち止まってしまった。
動かないわたしのせいで入り口を塞がれた生徒に文句を言われて、やっと我に返る。
放課後だからか、生徒の行き来の激しい職員室に響く怒号。
「すみません」
「もう少し、わかりやすい授業をだね――」
せめて空き教室で怒ればいいのになぁなんて思う。
少し可哀想になる光景だ。怒っている学年主任は結構、嫌味な性格なのかもしれない。
怒られているのはゆうちゃんだった。
この間のテストの平均点は、生徒のわたしも驚くほど低かった。授業のことも含めて言われているんだろう、と予想する。
眠すぎる授業をして、成績なんて上げようがない。全員が塾に行っているわけではないのだから。
可哀想になるものの、わたしには仕事がある。すぐに職員室を出て、図書室に向かった。