【短】泣き虫先生とわたしの卒業
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司書の先生に言われて新刊の本を並べ、ついでに整理をして図書委員の仕事は終わり。
先に職員室に戻った司書の先生に報告をして鍵を返せば帰れる。
やっと解放されると背伸びをした時だった。
「グス……っ」
誰もいなかったはずの図書室。いつの間にか誰かが来ていたらしい。
「う……、グス……っ」
明らかに泣いている。嗚咽混じりの声は、男性のようだ。
「もう、嫌だ……」
出るに出られなくなったわたしは、本棚の陰で彼が去っていくのを待つしかない。