【短】泣き虫先生とわたしの卒業


 ・・・


 司書の先生に言われて新刊の本を並べ、ついでに整理をして図書委員の仕事は終わり。


 先に職員室に戻った司書の先生に報告をして鍵を返せば帰れる。
 やっと解放されると背伸びをした時だった。



「グス……っ」



 誰もいなかったはずの図書室。いつの間にか誰かが来ていたらしい。



「う……、グス……っ」



 明らかに泣いている。嗚咽混じりの声は、男性のようだ。



「もう、嫌だ……」



 出るに出られなくなったわたしは、本棚の陰で彼が去っていくのを待つしかない。

< 7 / 41 >

この作品をシェア

pagetop