蜜月同棲~24時間独占されています~
「さすがに今日は残業もないだろ。定時に迎えにくる」
「うん。けど克己くんは大丈夫なの? お仕事の都合でいいよ」
「問題ないだろ。遅れるようなら連絡する」
わかった、と頷いて、助手席から降りる。
いよいよ、本当に今日で最後だ。
こんな風に、清々しい気持ちでいられるとは思わなかった。
それは間違いなく、克己くんのお陰だ。
窓越しに目が合って克己くんは頷き、私は小さく手を振った。
克己くんの車が見えなくなるのを見送って、深呼吸をする。
よし、と気合を入れて、会社へ向かおうと振り向いたときだった。
鋭く、冷ややかな視線に見られていたことに気が付いて、足が竦んだ。
新田さんが、物言いたげにじっとこちらを睨んでいるところだった。