蜜月同棲~24時間独占されています~
私と新田さんの間を、人の波が流れていく。
それでも、視線は私を鋭く射抜いたままで、まるで金縛りにあったように足が動かなかった。
多分、今私が克己くんの車から降りて来たところから見られていたのだろうと思う。
だけど、だからといってこんな顔で睨まれる筋合いはどこにもないはずだ。
私たちはもう無関係で、彼には綾奈がいるのだから。
理由の見つからない新田さんの怒りに戸惑う。
一歩彼が私に近づいた時、一気に恐怖感が増して弾かれたように会社に向かって走り出す。
人目がある。
さすがに追いかけては来ないだろう、それでもずっと早足で歩き始め、前方に気の許せる相手の背中を見つけた時にやっと、ほっとした。
「さやか! おはよ」
「柚香」
隣に並んで一緒に歩き始める。
そっと後ろを振り向いたが、新田さんの姿は見えなかった。
「おはよー、いよいよ最後だねえ」
「うん、もう引継ぎは終わったし、今日はヘルプするだけだから。さやかは暫く大変だろうし今日出来る限りのことやっとこうね」
「助かる。でも寂しいなあ」
「遊びに来てよ、克己くんも良いって言ってたから」
さやかには、色々話を聞いてもらった手前、克己くんと一時的に同居することになったことは話している。
それでも、視線は私を鋭く射抜いたままで、まるで金縛りにあったように足が動かなかった。
多分、今私が克己くんの車から降りて来たところから見られていたのだろうと思う。
だけど、だからといってこんな顔で睨まれる筋合いはどこにもないはずだ。
私たちはもう無関係で、彼には綾奈がいるのだから。
理由の見つからない新田さんの怒りに戸惑う。
一歩彼が私に近づいた時、一気に恐怖感が増して弾かれたように会社に向かって走り出す。
人目がある。
さすがに追いかけては来ないだろう、それでもずっと早足で歩き始め、前方に気の許せる相手の背中を見つけた時にやっと、ほっとした。
「さやか! おはよ」
「柚香」
隣に並んで一緒に歩き始める。
そっと後ろを振り向いたが、新田さんの姿は見えなかった。
「おはよー、いよいよ最後だねえ」
「うん、もう引継ぎは終わったし、今日はヘルプするだけだから。さやかは暫く大変だろうし今日出来る限りのことやっとこうね」
「助かる。でも寂しいなあ」
「遊びに来てよ、克己くんも良いって言ってたから」
さやかには、色々話を聞いてもらった手前、克己くんと一時的に同居することになったことは話している。