蜜月同棲~24時間独占されています~
「行く行く! タワマン登ってみたい」
「あはは。夜景綺麗だよ」
笑いながらも、つい周囲を見渡す。
それからさやかの腕を取って、そっと耳元で話した。
さやかのことだから、ちゃんとわかってくれてると思うけれど、念のため。
「あのね、一応、幼馴染と一緒に住むことになったとか、そのことは誰にも内緒にしといてね」
「わかってるわよ。言うわけないでしょそんなの」
「うん、でもまあ、念のため」
もう一度、後ろを確認する。
新田さんも当然同じ方向に歩いているはずだけれど、距離を保ったままなのだろうか、やっぱり見えない。
ほっとしたけれど、あの冷ややかな目を思い出すと、ぶる、と身震いがした。