蜜月同棲~24時間独占されています~
携帯で一度時間を確認してから、再びバッグに仕舞う。
夜はさすがに冷えて、コートの上からふわりとショールを羽織って風を防ぎながら、通りの向こうから克己くんの車が現れるのを待っていた。
「今朝の男と待ち合わせか?」
感情のない、低い声が真後ろから聞こえ慌てて上半身を振り向かせた。
「……新田さん」
ベンチの裏に居たのは、新田さんだった。
今朝と同じように冷たい目で私を見て、ただ口元だけは何か不快に歪められている。
「お前も、結構したたかなんだな」
「……どういう意味?」
「別れてもう新しい男がいるとは思わなかった。そのくせ、職場では被害者ですって顔して同情引いて、いいよな女は泣けば味方してもらえるんだから」
呆れた屁理屈をぶつけられ、絶句してしまう。
何を言ってるのだろう、この人は。
私を泣かせてくれなかったのはあなたじゃないか、とふつふつと怒りがこみあげてくる。
新田さんの前では泣けなかった。
気の許せるさやかと、克己くんだけが私の涙を受け止めてくれたのだ。
決して、職場の同僚誰彼構わずに泣いてみせたわけじゃない。
夜はさすがに冷えて、コートの上からふわりとショールを羽織って風を防ぎながら、通りの向こうから克己くんの車が現れるのを待っていた。
「今朝の男と待ち合わせか?」
感情のない、低い声が真後ろから聞こえ慌てて上半身を振り向かせた。
「……新田さん」
ベンチの裏に居たのは、新田さんだった。
今朝と同じように冷たい目で私を見て、ただ口元だけは何か不快に歪められている。
「お前も、結構したたかなんだな」
「……どういう意味?」
「別れてもう新しい男がいるとは思わなかった。そのくせ、職場では被害者ですって顔して同情引いて、いいよな女は泣けば味方してもらえるんだから」
呆れた屁理屈をぶつけられ、絶句してしまう。
何を言ってるのだろう、この人は。
私を泣かせてくれなかったのはあなたじゃないか、とふつふつと怒りがこみあげてくる。
新田さんの前では泣けなかった。
気の許せるさやかと、克己くんだけが私の涙を受け止めてくれたのだ。
決して、職場の同僚誰彼構わずに泣いてみせたわけじゃない。