蜜月同棲~24時間独占されています~
正直、助かった。考えなければいけないことはたくさんあるのだ、新田さんとの新居に来月から住む予定だった私は、もうじき今のワンルームマンションを出なければならない。
引越し先をどうするか……考えるほどに理不尽に、私の方が追い詰められている。新田さんはいい、彼の名義で新居を借りたのだから相手が変更になっただけのことだ。
……あ。そうか、あのふたりがあの部屋に住むのか。
ふと、頭に浮かんだふたりの姿に、堪えきれない程の嫌悪感が沸き上がる。新居の家具も生活用品も、全て私と彼で選んだものだ。もしかしなくても、そこに綾奈が入り込むのか。
「……ああ、やだ。すごく今、心が黒い……」
「飲め! 吐き出せ! 今日はその為に来たんだから!」
さやかが私のグラスにビールを注ぎ足した。私はそれを一息に煽る。嫌悪感も嫉妬も敗北感も喪失感も、すべてそれで洗い流されてしまえばいいのにと思った。