蜜月同棲~24時間独占されています~
冷静に、冷静にと思っていたつもりだったけど。
やっぱりかなり、頭に来ていたらしい。
徐々に早口になって畳み掛けてしまった。
新田さんの目が、更に険しくなっていく。
「とにかく、私はもう無関係だから。早く手を離して」
「そういうとこが冷たいって言ってんだよ! 感情の問題だろ!」
「感情をあなたに向けられないように、あなたがしたんじゃない! 自分がしんどいからって八つ当たりしないでよ!」
どうして、こんなことになったんだろう。
綺麗に別れるなんて、事情が事情だけに無理な話だけれど。
せめて互いに潔く、ありたかった。
捕まれたままの手首が痛い。
その痛みにも心の痛みにも、じわりと涙腺が刺激される。
いやだ、絶対新田さんの前では泣かない、とぐっと奥歯を噛み締めた。
次の瞬間、突然その手が解放された。
「柚香に触れないでくれるかな」
その冷たい声は、新田さんのものではない。
克己くんのものだ、と気付いた途端、ぐいっと肩を引き寄せられる。
私は、克己くんの腕の中にいて。
新田さんは、彼に腕を捻り上げられていた。