蜜月同棲~24時間独占されています~
「……じゃ、行くか。鮨、予約してあるから」
気を取り直して、と彼が改めてハンドルを握り、左手がサイドブレーキを外した。
ゆっくりと車が走りだし、国道の車の流れに合流する。
私は、さっきからずっと気になっていたことを口にした。
「ね、あんな言い方して、誤解されたよ多分」
私を守るって言ってくれた。
克己くんは幼馴染として、という意味で言ったのだろうけど、きっと、新田さんが誤解することもわかってて言ったよね、と克己くんの横顔を見て確信した。
「誤解って? 嘘は何も言ってないけど」
そう言って、にやっと笑う。
「まあ、どう思われてたっていいだろ、もう会うこともないんだし」
確かにその通りで、ただああいう言い方をすることで私が二股をかけてたという新田さんの思い込みを払拭してくれたのだとわかった。
不名誉なレッテルを残さないよう、破談になった後再会して、克己くんが口説いて傍にいるような言い方をしてくれたのだ。
「……ありがとう」
克己くんの優しさに感謝しながらも。
これ以上好きになってしまったらどうしよう、とそれが少し、怖かった。