蜜月同棲~24時間独占されています~
「だいじょうぶ。就職が決まるまで、よろしくお願いします」


ぺこ、と頭を下げたら、グラスも傾いて少し中身が零れてしまった。
大惨事にならなかったのは、ぎりぎりで克己くんが私の手からグラスを取り上げたからだ。


「あ、ぶね」

「ごめん。ああ、スカート濡れた……」

「もうやめとけ。悪い、飲ませ過ぎたな」


私のグラスをローテーブルに置き、克己くんが立ち上がる。


「また、ちゃんと意識がはっきりしてる時に言うよ」

「んー、ちゃんとわかってるよ。バイトします」

「はいはい。今日はもう寝ろ。ベッドまで連れてくよ」


しょうがないな、と克己くんが私の両腕を掴んで立たせようとする。
本当に、意識はちゃんとしてるのにな、と思いつつ、確かにこのふらふら具合では信じてもらえないだろうと、促されるままに立ち上がった。


「お風呂入ってない……」

「明日の朝にしとけよ、酔ってるのに入って滑って転んだらシャレにならない」


どこまでも酔っ払いの扱いに、あははと声を出して笑った。


「ほら、やっぱ酔ってるよ」


と、彼も呆れながら笑っていた。


とても、楽しくて嬉しい。


学生の頃、諦めた人と今こうしていることが、まるで夢のようだった。


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