蜜月同棲~24時間独占されています~
寝室まで腕を貸してもらいながら歩いて、後少しでベッド、というところで足がもつれた。
「わっ」
よろけて彼のワイシャツにしがみつき、彼もまた私の身体をしっかりと抱き留める。
「まったく……あぶなっかしい」
頭上から聞こえた克己くんの声が、低く響いた。
場所が場所だからか、急に艶が増して聞こえた声に、ふわ、と漂うお酒の香り。
「ご、ごめん」
慌てて離れようとして、出来なかった。
彼の腕が私を離してくれなかったのだ。
どく、どく、どく、と心臓が高鳴り始める。
これは、お酒のせいじゃない。
「柚香」
彼のワイシャツの、胸元のボタンばかりを見て顔をあげられなかった。
「な、何? ごめんね、ふらふらして。やっぱ、酔ってるみたい」
俯いたままでそう言ったけれど、その後彼の返事がない。
私が顔を上げ、彼を見つめるのを待っているような気がした。
でも、今、顔を上げたら。
彼に全部、自分の気持ちがバレてしまう。
隠せそうにない。
酔った勢いで、言葉にしてしまいそうだった。