蜜月同棲~24時間独占されています~
姉と別れてから、克己くんに今いる場所を連絡すると、十五分ほどで到着した。


「静香は?」

「電車の方が早いって言って帰っちゃった」

「なんだ。相変わらずせっかちなやつだな」


助手席の私がシートベルトをし終えるのを待って、車が走り出す。
克己くんは笑いながらも、少し残念そうだった。


「待ってたらいいのに、とは言ったんだけどね。旦那さんが待ってるから急ぎたかったのかな」

「ふーん……何か良い匂いがすんな」

「あ、パン買ったの明日の朝に」


紙の袋の口を開けて、運転席の方へ向けると、ちらっと目線だけが横向いた。
すぐに前を向いて、ぷはっと笑う。


「すげえ、買い過ぎだろ」

「……明日の朝の分だけど、今日も食べたいかなって。良い匂いだったんだもん」

「じゃあ、晩御飯は外でと思ってたけど、家にする?」

「うん。シチュー作るね。パンに合うでしょ」


美味そう、と頬を綻ばせる。
こんな顔を真横で見られる幸せに、浸ってしまう。


けど、いつまでも子ども扱いはイヤで、だから私は、姉と会ってから心に決めたことがあり、そのことを切り出した。


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