蜜月同棲~24時間独占されています~


―――……か、ゆずか
―――しっかりして、大丈夫? さっきから携帯が鳴ってるよ


いつまでその居酒屋にいたのだろう。さやかがずっと、私の愚痴に付き合ってくれていたのは覚えている。


そう、それから、懐かしい人から電話があったことも。ただ、その電話に出たかどうかの記憶が、定かではない。


ゆらゆらゆら、と身体が心地よく揺れた感覚を憶えているのは、あれは酔いのせいだろうか。


ピピ、ピピ、ピピ、とスマホのアラームに起こされ目を開けると、見慣れた天井が目に入り自分の部屋なのだとすぐにわかった。スマホはどこだ、と枕元を探す。だけど見つからなくて、音を頼りに手を伸ばせばいつもはあまり置かない場所に置いてあった。


ベッドの宮に誂えられた、小さな窪みのような棚だ。いつもは読みかけの小説なんかを置く場所で、スマホは枕のすぐ傍が定位置なのに。
こんなとこに自分で置いたのかな、と不思議に思いながらスマホの画面で指をスライドさせアラームを止める。


「……いたっ!」


起き上がろうとして、激しい頭痛に襲われた。

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