蜜月同棲~24時間独占されています~
「おかえりなさい、お疲れ様です」


彼は昼以降、克己くんと外出していたはずだったが、いつのまにか帰ってきていたらしい。


「ただいま戻りました。俺と篠宮社長の分もコーヒーありますか」

「大丈夫ですよ、多めに作ってあるので」


並べてあるカップの中に更にふたつ追加する。


「出来たら持っていきますね」


そう言ったのだけれど、深見さんはなぜか給湯室から出て行かなかった。
何か話があるのだろうかと、首を傾げながら彼に向かい合う。


「あの、何か?」

「仕事は慣れましたか?」

「あ、はい! まだ、迷惑ばっかりかけてるかもしれませんが、みなさん優しくて」


深見さんは、すごく変わっている。
表情があまり動かないというか、初対面であまり知らない時は寧ろ怖いと逃げてしまいたくなるような無表情なのだが。


その表情で、人を気遣うような言葉を言う。
最初、怒られてるのか嫌われているのかとびくびくしてしまったが、ちょっと慣れてきた。

< 131 / 200 >

この作品をシェア

pagetop