蜜月同棲~24時間独占されています~

「それは良かった」

「お気遣いありがとうございます」


笑って頭を下げると、ちょっとだけ表情が動いた。


「いや。篠宮がうるさいから」


多分、照れているのだろうか。


「克……篠宮社長が?」


意味が解らず首を傾げる。
すると、まるで独り言のようにぶつぶつぶつぶつとこぼれ出て来た。


「考える隙もないくらい仕事を与えて覚えさせろとかめちゃくちゃなこと言っときながら、次の日には困ってないか見て来いとかそんなら全部自分で見てくりゃいいのに」

「す……すみません、ほんとに……」


恥ずかしさと申し訳なさで、頭を垂れる。


なんとなく気が付いてはいた。
克己くんが何かと私のことで深見さんに頼んでいるのは。


さすがに社員の手前、克己くん本人が私の仕事に関わることは極力ないようにしているのだろう。
だけどその分、深見さんにあれやこれやと言っているようで。

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