蜜月同棲~24時間独占されています~
なんで?
昨日の夜、何があった?
空き巣にでも入られたかと思ったが、部屋が荒らされているような様子もなくて、ベッドの下に置かれたバッグの中にちゃんと財布も入っている。ドレスだけ盗んでいくなんて、おかしい。
頭の中をいくつものクエスチョンマークが飛び交っている。そして何より焦ったのはドレスの行方だ。破談になった今、着る予定もないものだけれど、なくなってしまうのは嫌だ。
姉の心がこもったドレスなのに、私は一体どうしてしまったんだろう?
混乱しながら、スマホを手に取る。夕べの自分の行動がわかる何かがないかと探そうとしたのだ。
メッセージアプリで着信があったのは、さやかからのものだった。
『ちゃんと帰れた?』
『私はあんたの味方だからね! 堂々と仕事にくればいいんだからね!』
ぐっ、と親指を立てた力強いスタンプが最後に送られてきている。多分、昨日、一緒に仕事がしづらいだとか顔を合わせるのがしんどいだとか口走ったのを覚えているからそのせいだ。心強いなあ、と頬が緩む。
だけどさやかとは、どうやら店かどこかで別れてここまで一緒だったわけではないらしい。だとすると、やっぱり自力で帰ってきたのだろうか。
アプリを閉じて、次は着信履歴を開く。ぼんやりと記憶に、着信があったことを覚えていたからだ。そう、とても懐かしい人から。
「……あった。夢じゃなかったんだ……」
着信履歴に、三つ連続で並んだ名前は『克己くん』だ。信じられない思いで、画面を指で撫でる。私の初恋の人で、幼馴染だ。だけど、どうして今になって、という想いが消えない。
私よりもふたつ年上の彼は高校卒業と同時に海外留学し、それきりずっと疎遠になっていたのだった。
昨日の夜、何があった?
空き巣にでも入られたかと思ったが、部屋が荒らされているような様子もなくて、ベッドの下に置かれたバッグの中にちゃんと財布も入っている。ドレスだけ盗んでいくなんて、おかしい。
頭の中をいくつものクエスチョンマークが飛び交っている。そして何より焦ったのはドレスの行方だ。破談になった今、着る予定もないものだけれど、なくなってしまうのは嫌だ。
姉の心がこもったドレスなのに、私は一体どうしてしまったんだろう?
混乱しながら、スマホを手に取る。夕べの自分の行動がわかる何かがないかと探そうとしたのだ。
メッセージアプリで着信があったのは、さやかからのものだった。
『ちゃんと帰れた?』
『私はあんたの味方だからね! 堂々と仕事にくればいいんだからね!』
ぐっ、と親指を立てた力強いスタンプが最後に送られてきている。多分、昨日、一緒に仕事がしづらいだとか顔を合わせるのがしんどいだとか口走ったのを覚えているからそのせいだ。心強いなあ、と頬が緩む。
だけどさやかとは、どうやら店かどこかで別れてここまで一緒だったわけではないらしい。だとすると、やっぱり自力で帰ってきたのだろうか。
アプリを閉じて、次は着信履歴を開く。ぼんやりと記憶に、着信があったことを覚えていたからだ。そう、とても懐かしい人から。
「……あった。夢じゃなかったんだ……」
着信履歴に、三つ連続で並んだ名前は『克己くん』だ。信じられない思いで、画面を指で撫でる。私の初恋の人で、幼馴染だ。だけど、どうして今になって、という想いが消えない。
私よりもふたつ年上の彼は高校卒業と同時に海外留学し、それきりずっと疎遠になっていたのだった。