蜜月同棲~24時間独占されています~
臆病な花嫁の小さな一歩
その日、就職活動は思うような求人は見つからず、それでもふたつほど会社に連絡を入れてもらったが色好い返事はもらえなかった。
前の会社にいたようなネット販売部の仕事がしたいとか、そんな贅沢は言えないからどんな仕事でもいい、となるとそれならふと、純粋に仕事のことだけ考えれば、克己くんの会社でこのまま働かせてもらってもいいんじゃないかと頭を過る。
ただ、克己くんに甘えっぱなしな自分がきっと許せないだけなのだろう。
そして夜。
焦らない、といったはずの彼から、私はなぜか速攻で結婚式場のパンフレットを幾つも見せられ、首を傾げている。
「……克己くん?」
夕食を終えてふたりで後片付けを終えたあと、ソファに手招きされて隣に座ると、どっさと重たい紙袋を渡されたのだ。
袋の口から中を覗くと、数冊の薄めのパンフレットが入っていて、出してみるとそれが全部結婚式場のものだった。
それらをローテーブルに並べ、呆然としている私の横で、克己くんはにこにことご機嫌なご様子だが。
「えー……と。焦らないって言わなかった?」
「気持ちはな」
克己くんは並んだうちからパンフレットを一冊手に取り、私にも見えるようにふたりの間で広げる。
戸惑いつつも見てみれば、綺麗なガラスのチャペルのある、純白の眩い式場だ。
すごく、綺麗だ、けど。
戸惑う私の顔を覗き込みながら、彼が言った。
「逃がさないとも言った」
手が伸びて、私の髪を指ですくい耳にかける。
その色っぽい仕草にどきりとしたけれど、次にはにこっと彼は胡散臭い愛想笑いを浮かべる。
「どうせいつかこうなるなら、先に話は進めて置いた方がいいだろ?」
「ごめん、何が良いのか全然わからない」
前の会社にいたようなネット販売部の仕事がしたいとか、そんな贅沢は言えないからどんな仕事でもいい、となるとそれならふと、純粋に仕事のことだけ考えれば、克己くんの会社でこのまま働かせてもらってもいいんじゃないかと頭を過る。
ただ、克己くんに甘えっぱなしな自分がきっと許せないだけなのだろう。
そして夜。
焦らない、といったはずの彼から、私はなぜか速攻で結婚式場のパンフレットを幾つも見せられ、首を傾げている。
「……克己くん?」
夕食を終えてふたりで後片付けを終えたあと、ソファに手招きされて隣に座ると、どっさと重たい紙袋を渡されたのだ。
袋の口から中を覗くと、数冊の薄めのパンフレットが入っていて、出してみるとそれが全部結婚式場のものだった。
それらをローテーブルに並べ、呆然としている私の横で、克己くんはにこにことご機嫌なご様子だが。
「えー……と。焦らないって言わなかった?」
「気持ちはな」
克己くんは並んだうちからパンフレットを一冊手に取り、私にも見えるようにふたりの間で広げる。
戸惑いつつも見てみれば、綺麗なガラスのチャペルのある、純白の眩い式場だ。
すごく、綺麗だ、けど。
戸惑う私の顔を覗き込みながら、彼が言った。
「逃がさないとも言った」
手が伸びて、私の髪を指ですくい耳にかける。
その色っぽい仕草にどきりとしたけれど、次にはにこっと彼は胡散臭い愛想笑いを浮かべる。
「どうせいつかこうなるなら、先に話は進めて置いた方がいいだろ?」
「ごめん、何が良いのか全然わからない」