蜜月同棲~24時間独占されています~
……キス、したい。
私も。
けど、ひとつだけ。
「克己くん」
「ん?」
私の呼びかけに、彼が目を閉じたまま答える。けれど、続いた言葉に彼はぱちっと目を開けた。
「前に言ってた、気になる人は、もういいの?」
「え……?」
「いつだっけ……あ、そうだ。いきなり当日同居って聞かされた日だ。気になる人がいるって言ってた」
覚えていなかったのか、彼は暫し目線を上向けていたが、数秒過ぎてやっと思い出したらしい。
「ああ。お前が、妙に俺に彼女がいるんじゃないかって疑うから」
「えっ、違うよ疑うっていうか、もしそんな人がいるのに一緒に住むのはまずいと思って」
「お前が気になってるって言ったら、警戒して余計来てくれないかと思ったから、あんな言い方したんだった」
ははっ、と軽く笑って言う彼に、私は唖然とする。
「え。……私?」
「お前が気にする相手じゃないって言っただろ」
確かに言った。けど。
「そっ、そんなん余計に気になったに決まってるでしょ!」
恥ずかしいやら何やらで、ムカついてバシッと克己くんの肩を平手で叩いた。
彼は、悪いと言いつつなぜか嬉しそうで。
「大事な妹が泣かされて酷い目にあってるって知って、くそ腹が立ってたんだけど。再会したら酒飲んで怒るわ泣きわめくわで、そのくせこっちが手助けしようとしても中々頼ろうとしない意地っ張りになってて」
「うっ……」
「でも、自力でどうにか立ち治ろうとするくらい、大人になったんだなとか、そのくせ泣き顔は子供みたいだなとか思ったら、気になって気になって、仕方なくなっていった」
私も。
けど、ひとつだけ。
「克己くん」
「ん?」
私の呼びかけに、彼が目を閉じたまま答える。けれど、続いた言葉に彼はぱちっと目を開けた。
「前に言ってた、気になる人は、もういいの?」
「え……?」
「いつだっけ……あ、そうだ。いきなり当日同居って聞かされた日だ。気になる人がいるって言ってた」
覚えていなかったのか、彼は暫し目線を上向けていたが、数秒過ぎてやっと思い出したらしい。
「ああ。お前が、妙に俺に彼女がいるんじゃないかって疑うから」
「えっ、違うよ疑うっていうか、もしそんな人がいるのに一緒に住むのはまずいと思って」
「お前が気になってるって言ったら、警戒して余計来てくれないかと思ったから、あんな言い方したんだった」
ははっ、と軽く笑って言う彼に、私は唖然とする。
「え。……私?」
「お前が気にする相手じゃないって言っただろ」
確かに言った。けど。
「そっ、そんなん余計に気になったに決まってるでしょ!」
恥ずかしいやら何やらで、ムカついてバシッと克己くんの肩を平手で叩いた。
彼は、悪いと言いつつなぜか嬉しそうで。
「大事な妹が泣かされて酷い目にあってるって知って、くそ腹が立ってたんだけど。再会したら酒飲んで怒るわ泣きわめくわで、そのくせこっちが手助けしようとしても中々頼ろうとしない意地っ張りになってて」
「うっ……」
「でも、自力でどうにか立ち治ろうとするくらい、大人になったんだなとか、そのくせ泣き顔は子供みたいだなとか思ったら、気になって気になって、仕方なくなっていった」