蜜月同棲~24時間独占されています~
「あ、あれ……あの向いに座ってる人、後ろ姿だけど前に見た人かも」
磯原さんが以前に言っていた、克己くんが外で会っていた女の人のことだろう。
こちらに背を向けているけれど、車道を挟んでいて少し距離があるけれど、わかる。
あの後ろ姿は。
「お姉ちゃん? なんで?」
「えっ!? 柚香ちゃんのお姉ちゃん!?」
ちくん。
と、胸の中心を針が刺さったような痛みが走る。
その痛みがじわじわと、熱く焼けるような痛みに代わって、広がっていく。
前からお姉ちゃんと会ってたなんて、私何も聞いてない。
どうして私に隠すのだろう?
―――気になってる人ならいるけど。
克己くんのその言葉を一番最初に聞いた時、私がちらりと思ったことを思い出した。
どうして、そんな曖昧な言い方をしたのだろう。
もしかして、叶わない人だから?
確かそう思ったのだ。
お姉ちゃんは既婚者だ、旦那様とラブラブでとっても仲が良い。