蜜月同棲~24時間独占されています~
「……どうしよう。パニクッた……」
顔を覆えば、指先に濡れた肌が触れる。
瞼がヒリヒリして痛い。
みっともないくらいに涙でぼろぼろだった。
帰らなければ、と思ったが、電車に乗ろうにも今の顔面がどうなっているのか確認しなければと、ファンデーションのコンパクトを出そうとした。
それより先に、目に入ってしまったのは、バッグの中のスマホだった。
着信があったことを示すライトの点滅が見える。
慌てて手に取り画面をタップすると、着信履歴がいくつも入っていた。
どうしよう。
やっぱり心配をかけてしまった。
多分、私が走り出した直後からだろう。
何分か置きに不在着信が入っていて、一番最初がニ十分前だ。
そんなに長く走ってただろうか。ここで座り込んでからは、十分くらいは経ってそうな気がするけれど。
一番最後は、通話着信でなくメッセージだ。
『どこにいる?』
と簡潔な一言が五分前に入っていた。
涙の言い訳はまだ思いつかないけれど、とにかく大丈夫だからとこれ以上心配かけないようにしなければいけない。
折り返し電話をかけたが、今度は克己くんの方の携帯が通じなくなっていた。