蜜月同棲~24時間独占されています~
何度かけ直しても、コール音も鳴らない。
次第に、焦りが胸に広がった。
あれくらいのことで泣いたりして、呆れた?
電話に出ないから怒った?
早く帰って、謝らなければ。
そして、どうせ逃げた理由を問い詰められるのだから、今日不安に思ったことも全部吐き出してしまおう。
とにかく今は、一刻も早く帰らないと。
そう思ったら、ぼろぼろになったメイクのことなんかもうどうでもよくなった。
急いで公園を出て、周囲を見渡す。
めちゃくちゃに走ったから自分がどこにいるのかもよくわからなくなっている。
いつもの駅はどっちだろう?
私はどっちから走ってきたっけ。
とにかく思いついた方向へまた走って、スマホのナビを使うことだとか全く頭に浮かばなかった。
闇雲に走ってたら余計に効率が悪い、と気が付いたその時に進行方向からタクシーが走ってくるのが見え。
空車の文字を確認した瞬間、私は片手を上げていた。