蜜月同棲~24時間独占されています~
駅まで、と言おうとして、思い直して会社のあるビルの名前を告げた。
もしかしたら、マンションじゃなくて会社に一度戻ってるのじゃないかと思ったのだ。
すぐ近くだったのに、運転手さんは嫌な顔ひとつしないでいてくれた。
タクシーの中からも電話をかけてみたけれど、やはりコール音が鳴らない。
電源を落としてる?
電波の届かない場所とかあっただろうか。
それとも充電が切れてしまったのかもしれない。
繋がらない以上、私にできるのは克己くんを探すことで。
社ビルのエレベーターを上がって、オフィスのある階に着いたけれど、ドアには鍵がかかっていた。
中には誰もいないということだ。
となると、後は一度マンションに帰ってみるしかない。
またエレベーターを降りると、さっきのタクシーが小休憩のつもりだったのか記録でもつけていたのか、まだ止まっていたので今度はマンションの住所を伝えた。
電車より、マンションに直行した方が早いと思ったのだ。