蜜月同棲~24時間独占されています~
「いたっ」
「どこに行くつもりだ?」
私の腕を掴んだまま、もう片方の手でドアを開けると今でて来たばかりの部屋のなかへ強引に押し込まれた。
かしゃん、と彼がドアに鍵をかける。
「行くとこなんかないくせに、どこにいくつもりだった」
「ち、違うよ! そうじゃなくて」
「何」
「克己くんを探しに行こうと思ったの! 携帯にかけても繋がらないし……」
そう説明すると、彼が拍子抜けしたように目を見開く。
それからじわじわ、険しさが抜けるに連れて、私の腕を掴む手も弛んだ。
「充電、途中できれちまって。悪い」
ふるる、と首を横に振った。
悪いのは私なのだ。
彼が、深く長く息を吐き出す。
それから髪をかきあげて、目を細め。
「……探した」
と言った。
よく見れば、髪は乱れて汗で濡れている。
ワイシャツの襟元も乱暴に緩められて、いつもぴしっと身だしなみを整えている克己くんらしくなかった。
「あの店の周りから、駅までの道とか、探し回ったんだぞ。お前、足はええよな」
「……つい。路地とか入ってぐるぐる回ったから」
撒くつもりで。
そう言うと、彼は苦笑いをして脱力する。
そして、私の頬に手を添えた。
「何で逃げた」
「あ……」
「なんで泣いた?」