蜜月同棲~24時間独占されています~
「はい、柚香はこっち!」

「えっ?」


戸惑っている私の手を引いて、さっさとソファに座らされた。
そして私の顔を手で掴むと、真正面からじろじろと隅々までチェックする。


「薄化粧ね」

「え、うん。いつもこんなもん、だけど」

「まあ、撮影とかじゃないしね。メイクはちょっと直すだけでいっか」


姉が四角い箱を開けると、中にはまるでプロが使うようなメイク道具が一式詰め込まれていた。
別の紙袋には、ドライヤーと電気コテまで入っている。


頭の中をハテナマークが飛び交う私にお構いなしに、姉は私の顔にパウダーをはたき、眉を整えた。
そして、私の背後に回ると髪を丁寧にブラッシングしてくれる。


どうやら、今から私は姉からヘアメイクを受けるらしい。
姉はデザイナーで、よくモデルさんのメイクなんかも見ているし手先も器用なので、こういうのは確かに得意だ。


私の髪を梳かしながら、姉が言った。
その手つきはとても、優しかった。


「柚香の髪、すごく綺麗よね。殆ど傷んでないし、コテをあてるのはもったいないかな。ちょっとだけにしとこうか」

「……うん。任せる」


なんとなく、だけれど。
もう私にも、今から何をされるのか、そしてあの等身大の箱には何が入っているのか。


予測は、つきはじめていた。



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