蜜月同棲~24時間独占されています~
姉が丁寧に、私の髪をサイドから編んでいく。
編みこみをして、一つにまとめてくれるようだ。
「ねえ、お姉ちゃん」
「んー?」
「こないだ、逃亡してごめんね」
心配かけるだけかけっぱなしになってしまっていた。
そのことを謝ると、姉が背後でくすっと笑った気配がした。
「大丈夫よ。克己から、ちゃんと見つけたって連絡はもらってたし」
「そっか、ごめん」
「それに昔っからあんたそうだもん。私と克己がふたりで遊んでたら、やきもちやいて泣いてたじゃない」
「そっ! そんなん子供の頃の話でしょー!?」
恥ずかしさで、顔が熱い。
冷房をいれてもらえないだろうか、でないと汗だくになってしまいそうだ。
子供の頃から成長してない、と言われたような気がしてしょうがないけれど、あの頃泣いた理由と今とでは、同じヤキモチでも随分意味合いが違うのだが。
「子供の頃だろうと、大人だろうと変わらないわよ。ゆずは私の可愛い妹で、克己は親友」
「……お姉ちゃん」
「ゆずを不幸にしたら、あいつ殴り倒してやるんだから。……はい、こんなもんかな」
姉が、大きな手鏡を持たせてくれた。
後ろは見えないけれど、少し頭を横向けば編み込みをした隙間に白い花がいくつか何輪か差し込まれているのが見える。
「わ……可愛い」
「はい。そしてこれが、私と克己からのサプライズ」
床に置かれた箱を姉が開いた。
中には、予測していた通り、真っ白いサテンとレースの布の塊。